今月の主題 輸血の実際と血液製剤
内科医のための輸血の実際
播種性血管内凝固症候群(DIC)の輸血
西川 健一
1
1鳥取大学医学部付属病院・輸血部
pp.600-601
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222397
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●DlCの概念と治療
DIC(disseminated intravascular coagulation)とは,何らかの原因による血管内での血液凝固機序の亢進によって微小血管内に血栓を生じ,その結果循環障害による臓器不全を起こし,さらには消費による各種凝固因子や血小板の減少,二次線溶のために高度の出血傾向を生ずる病態であり,その原因疾患は多岐にわたる.
したがって治療は,①原疾患の治療(DICを生じさせている原因の除去),②DICそのものに対する治療(血栓の形成抑制),③補充療法(消費により減少した凝固因子,血小板などの補充),の3つが柱となる.DICにおける輸血は補充療法であり,①,②と併用して初めて効果があるのであって,その実施にあたっては原疾患ないし基礎疾患のことを十分考慮する必要がある.たとえば産科的な原因におけるDICの場合,骨髄の造血能は正常であり,DICの状態が改善すれば血小板は速やかに回復するが,白血病の場合は骨髄機能が抑制されているため,血小板数の改善は望めず,したがってこれらの点も考慮した補充療法が必要になる.
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