増刊号 臨床血液検査
II.止血機能検査
2.検査の実際と症例の解釈
2)凝固検査
B.症例呈示
(2)播種性血管内凝固症候群(DIC)
新名主 宏一
1
1鹿児島大学医学部附属病院輸血部
pp.265-274
発行日 1991年6月15日
Published Date 1991/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543906530
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はじめに
播種性血管内凝固症候群(disseminated or diffuseintravascular coagulation syndrome;DIC)の主病態は,ひと言でいえば《血管内における持続性,大過剰のトロンビンの産生》であり,極端な凝固活性化状態といえる.その結果として,①微小循環系の血栓形成に基づく虚血性臓器機能障害→多臓器不全(multipleorgan failure;MOF)と②凝固因子・血小板の消費性減少あるいは二次性線溶能の亢進に基づく生理的止血機転の破綻→出血,という致命的な病態がもたらされる.したがって,救命的な治療をなしうるためには早期の診断が必要であり,的確な早期診断のためにはDICの病態生理についての理解が不可欠である.
本稿では,まずDICの病態生理について述べ,次に興味ある基礎疾患を有するDICの一症例を呈示し,本症例におけるDICの発症機序について概説する.
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