特集 小児科医ができるアドボカシー活動~こどものこえを社会のこえにするために小児科医ができること~
個人レベルのアドボカシー―現場でこえをすくい上げ支援につなげる
病院小児科医による実践
小川 優一
1
OGAWA Yuichi
1
1千葉県こども病院救急総合診療科
pp.1574-1577
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001138
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はじめに
米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)が公開しているAdvocacy Guideには,アドボカシーとは,こどもの健康と福祉に関して変えるべき問題があることを前提とし,その変化を促し効果をもたらす方法であり,小児科医としてindividual, community, state, and federalの4つのレベルのアドボカシーに携わることができると記載されている1)。病院小児科医としては,日々救急や一般外来,入院などでこどもの健康や福祉に対応しているわけであり,「アドボカシー」という言葉自体を意識していないとしても,無意識に行う普段の診察もindividual advocacyの一つになっているわけである。ここで重要なことは,「変えるべき問題があることを前提とすること」であると考えるが,忙しい日常診療のなかでこどもの病気を治すことの優先順位が高く,ふと感じた改善点や問題点の振り返りが後回しになり,対応できないままになることも多いかと思う。当たり前であるが,病院でのこどもたちの声は病院スタッフでないと受け取ることはできない。また少なくとも,日本では病院のなかで一番大きな声でこどもの声を代弁できるのは病院小児科医であろう。そのため私たちは,余裕が少ないとしても優先してアドボカシーを行うための労力や時間を捻出する使命があると考える。
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