講座
大人の小児科病院
関根 真一
1
1国立武蔵療養所
pp.18-21
発行日 1954年3月15日
Published Date 1954/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909521
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子供が病気になつていざ入院することになり,近代式の病院で治療をうけることになると,子供は母親や家族から全然離されて,子供だけ入院させられて治療をうけることになる。そのため母親の方は一時不安を抱き,子供の方は環境の変化と母親への愛着から落付かないが,自分の周囲の病気の子供を見たりして,割合早くなれて病院生活に順応するものである。綜合病院の小児科病棟を見学すると,子供等が各自のベットの上でおとなしく看護婦の看護をうけたり,遊ばせてもらつているのをまのあたりに見て,あのいじらしい様子には心を痛く打たれるのである。それも看護婦が子供の心理をよく理解し看護の適正を得ているからと思うのである。
ところが大人が精神に異常をきたして精神病院に入院することになると,子供が小児科病院に入院するように,病人だけが入院して家族が附添わずに,その病院の看護者にすべての世話をまかすことになる。そうすることが精神病患者の治療と看護にあたつて小児科と同じく理想的である。
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