特集 腎・泌尿器疾患―血尿から移植まで
腎・泌尿器疾患診療の進歩
紫斑病性腎炎(IgA血管炎関連腎炎)
清水 正樹
1
SHIMIZU Masaki
1
1東京医科歯科大学病院小児科
pp.1141-1145
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001008
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はじめに
IgA血管炎(IgA vasculitis:IgAV)は,皮膚症状(下腿を中心とした紫斑),関節症状(関節炎または関節痛),腹部症状(腹痛,血便)を主症状とする小児に好発する血管炎である。1837年にSchönleinが紫斑と関節痛との,1874年にHenochが消化器症状と腎障害との関連について報告し,以後Henoch-Schönlein紫斑病とよばれてきたが,2012年に改訂されたChapel Hill分類でIgAVに変更された。IgAVの約30%の症例において糸球体腎炎を合併し,紫斑病性腎炎(Henoch-Schönlein purpura nephritis:HSPN)とよばれてきたが,IgAVの名称変更に伴い,最近はIgA血管炎関連腎炎(IgA vasculitis nephritis)ともよばれる。IgAVは年間10万人あたり3~26.7人の発症がみられ,好発年齢は4~6歳で,男児に多い。季節性もあり,夏に少なく秋から冬に多い。HSPNはわが国では小児人口10万人あたり1.39人の発症を認める1)。HSPNはIgAVの長期予後を規定する重要な合併症であり,重症例では腎生検による評価が必須となり,その重症度が治療方針の決定に重要となる。
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