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増刊号 小児疾患診療のための病態生理3―改訂第6版―
Ⅴ.骨・運動器疾患
12.上肢の先天異常,多指症,合指症
Congenital anomaly of the upper extremities
関 敦仁
1
SEKI Atsuhito
1
1国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部
pp.635-642
発行日 2022年12月23日
Published Date 2022/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000624
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1 基本病因,発症機序
上肢の発生については,受精後4週で胎芽に上肢芽が膨隆し形成される。血管の形成も始まる。受精後5週で肢芽が肥大してその先端に指を誘導するapical ectodermal ridge(AER)が出現し(図1),そののちに手板を形成する。腕神経叢や上肢筋も形成される。6週では,上腕骨になる軟骨が形成される。手板内で指に相当する部位に細胞が凝集して,5本の指放線を形成する。この指放線にはそれぞれに指節骨となる軟骨や関節が形成される。7週では,指放線の間に生理的細胞死が起こることで指間陥凹が形成され,指が独立する。筋群が個別に発達し,上肢の骨格となる軟骨も中節骨まで形成される。肩や肘の関節腔が形成される。8週では末節骨に軟骨が形成され,上腕骨は軟骨の骨化が始まる(表1)1, 2)。これらの発生・分化にかかわる時期に,何らかの異常があれば特徴的な形態異常となる。
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