特集 子ども虐待~命を救うために~
総論
子ども虐待の種類 身体的虐待のみかた
内ヶ崎 西作
1
UCHIGASAKI Seisaku
1
1東京医科大学基礎社会医学系法医学分野
pp.1797-1801
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000447
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はじめに
今でこそ子ども虐待はchild maltreatment syndrome(不適切な養育によるさまざまな症候群)ととらえられているが,虐待の存在と社会的重要性を医学の分野で広く知らしめたKempeらの報告はbattered-child syndromeに関するものであった1)。batteredとは,「ボロボロの」,「乱打された」という意味であり,battered-childは今でいう身体的虐待に相当する。厚生労働省は「殴る,蹴る,叩く,投げ落とす,激しく揺さぶる,やけどを負わせる,溺れさせる,首を絞める,縄などにより一室に拘束する,など」のような虐待が「身体的虐待」と定義している2)。その多くは身体に痕跡が残るのでほかの虐待に比べれば発見しやすい。それゆえ,身体的虐待は平成24(2012)年度までそのトップ(同年は35.4%)を占めており,それ以降であっても1/4前後を占めている3)。
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