特集 子ども虐待~命を救うために~
総論
子ども虐待の現状と課題 子ども虐待対応の組織間連携
木下 あゆみ
1,2
KINOSHITA Ayumi
1,2
1四国こどもとおとなの医療センター小児科
2四国こどもとおとなの医療センター育児支援対策室
pp.1793-1796
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000446
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
医療機関は虐待の早期発見や診断・治療だけでなく,虐待の再発予防や子どもの育ちの見守り,母子・家庭支援など,その地域で長く家族全体をフォローできる貴重な社会資源である。困っている親子に早期からていねいにかかわることで,虐待の予防につながる可能性がある。しかし今のところ,虐待対応は児童相談所や市区町村が中心であり,われわれ医療者は,要保護児童対策地域協議会(要対協)の場で委員であれば情報を得られるが,主治医への情報提供は必要時以外行われていない現状がある。虐待を受けた子どもたちも,明らかな外傷や訴えがなければ,適切に医療につながっていないケースもあり,心のケアに十分つながっていないことも多い。また,医療機関から関係機関に虐待通告した場合でも,医療情報や医学的な危機感が他職種に正確に伝わっていないことも多く,被虐待児のリスクアセスメントが低く見積もられていることも多々ある。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.