症例
肺ヘモジデローシス疑いにて入院し,全身性エリテマトーデスによる二次性肺ヘモジデローシスと診断した7歳女児の1例
芹澤 龍太郎
1
,
内藤 千絵
1
,
米田 堅佑
1
,
目黒 敬章
1
,
木村 光明
1
,
遠藤 彰
2
,
椎名 晃平
2
SERIZAWA Ryutaro
1
,
NAITO Chie
1
,
YONEDA Kensuke
1
,
MEGURO Takaaki
1
,
KIMURA Mitsuaki
1
,
ENDO Akira
2
,
SHIINA Kohei
2
1静岡県立こども病院免疫アレルギー科
2磐田市立総合病院小児科
pp.1049-1053
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000255
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はじめに
肺ヘモジデローシス(pulmonary hemosiderosis:PH)は,肺毛細血管から肺胞内あるいは肺間質への出血をくり返し,その結果として代謝産物であるヘモジデリンが肺組織に沈着した状態の総称であり,慢性び漫性の肺胞変化であるび漫性肺胞出血がPHと診断される。PHは古典的には,鉄欠乏性貧血,喀血,胸部単純X線写真上の多発肺胞浸潤影を三主徴とするが,臨床経過中これらの特徴の一部やすべてが揃わないことがある。また発生頻度はまれであるが,小児では致死的疾患であり,診断にはこの疾患を強く疑う必要がある。PHは単独で起きる場合もあるが,通常はほかの基礎疾患に合併する。肺胞出血が単独で起き,基礎疾患を検索しても陰性であれば,特発性肺ヘモジデローシス(idiopathic PH:IPH)と診断される。続発性PHでは,小児全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)によるPHは頻度として高い。SLEは続発性PHの一因だが,ほとんどが思春期に発症し,それ以前の発症はまれである。今回,発症年齢が低く,早期にSLEによる続発性PHと診断し,治療を開始し救命しえた1例を経験した。そのため,続発性PHの鑑別としてSLEによるPHを念頭におくべきであり,文献的考察を加えて報告する。
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