特集 気管支喘息のガイドラインを実臨床に生かす―こんなときどうする?
日常診療にガイドラインをどう生かすか―こんなときどうする?
乳幼児期の反復性喘鳴が喘息治療に反応しない場合の鑑別疾患
川本 典生
1,2
KAWAMOTO Norio
1,2
1岐阜大学大学院医学系研究科小児科学
2岐阜大学医学部附属病院アレルギーセンター
pp.758-763
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000163
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はじめに
小児の気管支喘息の多くが,乳幼児期に発症する。この時期には,呼吸機能検査や気道過敏性検査などの実施が困難であり,また,年長児にはない解剖学的,生理的な特徴があるため診断が困難である。小児気管支喘息治療・管理ガイドライン(JPGL)2020においては,「5歳以下の反復性喘鳴のうち,24時間以上続く明らかな呼気性喘鳴を3エピソード以上繰り返し,β2刺激薬吸入後に呼気性喘鳴や努力性呼吸・酸素飽和度(SpO2)の改善が認められる場合に乳幼児喘息と診断する」としている1)。さらに呼気性喘鳴を認めるが,β2刺激薬の吸入に反応が乏しい症例に対しては,診断的治療として,重症度に応じた長期管理薬への反応をみて,乳幼児喘息の診断を行う。この過程のなかで,喘息治療に反応しない場合には鑑別診断が重要となる。本稿では乳幼児喘息の鑑別疾患について概説する。
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