特集 COVID-19
各論
コロナ禍における子どもとメディア 【コラム】信頼できる医療情報の提供に向けて
小松 充孝
1
KOMATSU Mitsutaka
1
1賛育会病院小児科
pp.229-230
発行日 2022年1月1日
Published Date 2022/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000044
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新型コロナウイルス感染症とインフォデミック
2019年12月に中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは全世界へと拡大し,2020年を通じて全世界的な流行が続いた。2021年に入っても流行は続き,2021年11月時点で新型コロナウイルス確定例は世界中で2億5000万人をこえ,わが国のみでも陽性者は170万人,死亡者は1万8000人をこえている。重症者や死亡者の割合は年齢によって異なり,高齢者では高く,若者では低い傾向にあるが,重症化率や致死率は流行初期に比べてどの年代においても低下してきている。これは流行初期の玉石混淆した情報,知見のなかから真に効果的な診断法や治療法が次第に明らかになり,患者管理の質が向上したことなどが影響を与えていると考えられている。世界的な流行が認められ始めた2020年2月に世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染症のパンデミック宣言前(2020年3月11日)にインフォデミック(infodemic)の危険性について警告を発した1)。インフォデミックとは新型コロナウイルス感染症についてのフェイクニュースの拡散を指してWHOによって使用され始めた造語であり,誤った情報や不正確な情報(information)が急速に拡散(epidemic)し,健康や社会に影響を与える状況を意味する。このように新型コロナウイルス感染症の流行初期は真偽を問わずさまざまな情報がさまざまな媒体を通じて発信されており,忙しい最中に一つひとつの情報を吟味する時間のとれない臨床医にとって,信頼できると思われる情報源へのアクセスの確保が安心して診療にあたるためには必須であった。
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