特集 周産期の薬物療法 update 2025 産科編
各論:産科的病態
異所性妊娠の薬物療法
田中 幹二
1
TANAKA Kanji
1
1弘前総合医療センター産婦人科
pp.918-920
発行日 2025年8月10日
Published Date 2025/8/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri0000002245
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はじめに
異所性妊娠は全妊娠の1~2%程度の頻度で発症し,主な症状として無月経に続く下腹痛と性器出血があり,流産との区別はつきづらい。また異所性妊娠後は正常妊娠率が低下することや,稀ではあるが出血によりきわめて不幸な転帰をとることもある。しかし,幸い現在は高感度妊娠検査薬と経腟超音波の進歩により無症状の異所性妊娠でも早い段階で診断可能となってきている。異所性妊娠は着床部位により,卵管妊娠,間質部妊娠,頸管妊娠,帝王切開瘢痕部妊娠,卵巣妊娠,腹腔妊娠,さらに精査によっても着床部位不明でヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)のみ陽性を示す着床部位不明異所性妊娠などに分類される。異所性妊娠と診断された場合の治療の原則は手術療法であるが,早期診断することにより手術療法を回避し薬物療法が選択できることもある1)。

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