特集 周産期診療コツと落とし穴
Ⅰ.母体・胎児編
(11)分娩時〔胎児〕
91.遅発一過性徐脈と変動一過性徐脈を間違うな
福田 冬馬
1
Toma Fukuda
1
1太田西ノ内病院産婦人科
キーワード:
遅発一過性徐脈
,
変動一過性徐脈
,
胎児心拍数モニタリング
Keyword:
遅発一過性徐脈
,
変動一過性徐脈
,
胎児心拍数モニタリング
pp.302-305
発行日 2026年10月10日
Published Date 2026/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002906
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
胎児心拍数(fetal heart rate:FHR)モニタリングは,現在の産科医療において不可欠な胎児評価法であり,特に分娩時の方針決定に大きな影響を与える。日本産科婦人科学会周産期委員会から「胎児心拍数波形の分類に基づく分娩時胎児管理の指針」が示されて以降,FHRモニタリングの解釈は主として,波形パターンの肉眼的判読によって行われている。それゆえ,波形の解釈には検者内・検者間誤差があり,判読を誤れば胎児の危機に気づくことができない,あるいは帝王切開や器械分娩などの不要な侵襲を与えてしまうことになる。「第8回産科医療補償制度再発防止に関する報告書」によれば,胎児心拍数陣痛図の判読に関して産科医療の質の向上を図るための評価がされた事例86件のうち,最も多かったのは遅発一過性徐脈(late deceleration:LD)の鑑別ができていない事例であり,そのなかでもLDを変動一過性徐脈(variable deceleration:VD)と判読していた事例は19.8%と最も多かった1)。そのため,LDとVDを正しく区別することは,児の脳性麻痺を防ぐうえで非常に重要である。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.

