特集 周産期における生命倫理を考える
出生前遺伝学的検査
多胎妊娠での出生前検査と倫理的な課題
小松 直人
1
,
味村 和哉
1
,
遠藤 誠之
1
KOMATSU Naoto
1
,
MIMURA Kazuya
1
,
ENDO Masayuki
1
1大阪大学大学院医学系研究科・医学部産科学婦人科学
pp.47-52
発行日 2026年1月10日
Published Date 2026/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002560
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はじめに
単胎妊娠における意思決定は原則として母体と胎児の一対一の関係性で完結するが,多胎妊娠では母体,胎児数および各児の状態,膜性という複数の要素が複雑に絡み合っており,あらゆる判断を難しくする。日本では生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)の適正化により多胎の発生は抑制されつつあるが,なお多胎妊娠は一定数存在し,胎児異常や母体合併症のリスク上昇に対する体系的対応が求められる。出生前診断に際しては,妊娠初期の正確な膜性診断は管理方針の基本であり,染色体スクリーニングは単胎と同様の枠組みで運用しつつも,多胎特有の解釈を要する場合がある。確定的検査である絨毛検査と羊水検査では多胎に特異的な注意点がある。さらに,一部の症例では母体の安全確保を目的とした減胎手術の適応を検討する場面がある。わが国ではこの領域の公的議論が長らく停滞してきたが,当院で実施した臨床研究により手技の安全性に関する知見が示されつつある。

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