特集 快適で安全な周産期の麻酔のために
各論:無痛分娩に伴う合併症
産後排尿障害
橘田 岳也
1
KITTA Takeya
1
1北海道泌尿器科記念病院
pp.1363-1366
発行日 2025年11月10日
Published Date 2025/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002362
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はじめに
われわれは意識することなく,蓄尿して尿意があれば排尿できる。蓄尿機能として必要とされる条件は,膀胱が社会生活を送るうえで十分な尿量を低圧で溜めることができることである。すなわち,随意的に排尿を試みない限り,膀胱排尿筋は収縮せず,膀胱の圧力は上昇せず,尿意は自覚されるが適切な環境になるまで我慢ができる。さらに,急激な腹圧上昇の際にも,尿道の圧力を膀胱内圧が凌駕することはないため失禁は起きない。また,排尿機能として必要とされる条件は,膀胱内に溜まった尿が低圧で尿道を通り,残尿は生じないことである。すなわち,排尿時には尿道括約筋が弛緩すると同時に膀胱排尿筋が収縮をして,尿をすべて排出するまで十分な収縮力が維持される。

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