特集 おさえておきたい! 胎児・新生児の超音波検査
新生児の超音波検査:心臓・胸部
早産児動脈管開存症
山本 裕
1
YAMAMOTO Yutaka
1
1岐阜県総合医療センター新生児内科
pp.1257-1259
発行日 2025年10月10日
Published Date 2025/10/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002328
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はじめに
胎児期は肺血管抵抗が高く動脈管が開存していることにより,上半身で使われた酸素飽和度の低い血液が動脈管を介して効率よく下半身(主に胎盤)に送られる。出生後,不必要となった動脈管は,酸素分圧の上昇,胎盤由来のプロスタグランジンE(PGE)の減少と肺での分解促進,PGE受容体の減少,動脈管内の血圧低下を経て,右左短絡から左右短絡に変化しながら次第に収縮し自然閉鎖する。早産児はPGE,一酸化窒素などの生理活性物質により動脈管を開存させようとする働きが正期産児と比べ強い。特に早産児において生理的な動脈管の自然閉鎖が遅延した状態を未熟児動脈管開存症(patent ductusarteriosus:PDA)と呼ぶ。胎内循環から胎外循環への移行における早産児特有の適応障害の代表的疾患である。PDAが閉鎖傾向にあるか,PDAが心不全にどのような影響を及ぼしているのか確認するため,画像診断は主に超音波検査を用いる。

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