特集 ちょっと気になる新生児―お母さんの不安に答える
胸腹部の異常
仙部皮膚異常と潜在性二分脊椎
千葉 泰良
1
CHIBA Yasuyoshi
1
1大阪母子医療センター脳神経外科
pp.436-441
発行日 2025年4月10日
Published Date 2025/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002108
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はじめに
中枢神経系は発生初期に体表外胚葉から分離してできる。最後に分離するのが中枢神経の尾側端,すなわち腰仙部付近で,この分離の際に何らかの不具合が生じると腰仙部皮膚異常となる。発生形態より腰仙部の皮膚異常と脊髄異常(二分脊椎)は同時に発生することがあるため,先天性の腰仙部皮膚異常は外観上わかりにくい潜在性二分脊椎の存在を疑わせるサインとしての役割をもつ。ただし,腰仙部皮膚異常は,軽微なものを含めると乳児診察において比較的頻繁にみられる所見であり,軽微な皮膚異常の場合は潜在性二分脊椎が存在する可能性は低い。とはいえ,潜在性二分脊椎の存在に気づかず放置してしまうと,脊髄係留や感染などで重篤な後遺症をきたすケースもあるため適切な評価と診断が重要である。

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