多胎児の管理 TTTSの出生後の急性期管理

はじめに

　双胎間輸血症候群（twin to twin transfusion syndrome：TTTS）は一絨毛膜双胎の共通胎盤に存在する吻合血管を介した血流不均衡を原因として引き起こされる症候群であり，多尿による羊水過多〔最大羊水深度（maximum vertical pocket：MVP）8 cm以上〕と乏尿による羊水過少（MVP 2 cm以下）を同時に満たすものと定義されている。TTTSは一絨毛膜双胎の約10％にみられる合併症であり，日本では年間150〜300例のTTTSの発症が推測されている^1）。吻合血管を介した胎児間の血流に不均衡が生じると，受血児と供血児が発現する。その結果，胎児期には早流産，胎児水腫，胎児発育不全，子宮内胎児死亡などを引き起こし，生存しても神経学的予後に影響を与える^2,3）。