特集 FGR・SGA 児のトピックス
産科
発症要因 妊娠高血圧症候群と胎盤機能不全
牛田 貴文
1
USHIDA Takafumi
1
1名古屋大学産婦人科
pp.161-164
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002018
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はじめに
胎盤機能不全の主要な原因の一つに妊娠高血圧症候群(hypertensive disorders of:pregnancy:HDP)がある。HDPの病型の一つである妊娠高血圧腎症(preeclampsia:PE)の発症機序には胎盤形成不全が根本にあり,特に早発型PEの病態には胎盤機能不全が深く関与している。そのため胎児発育不全(fetal growth restriction:FGR)や在胎不当過小(small for gestational age infant:SGA)児が増加し,出生後の児の合併症リスクが高まる。わが国のPEの定義では,母体臓器障害の一つに子宮胎盤機能不全が含まれており,子宮胎盤機能不全を伴う場合には重症と診断され,母児の慎重なモニタリングが必要となる。HDPのうち妊娠高血圧や高血圧合併妊娠は,母体の肥満やもともとの高血圧などが影響し胎盤形成不全を伴わない場合もあるため,本稿では早発型PEについて概説する。

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