連載 新生児理解のための基礎講座・22
新生児における薬物代謝
仁志田 博司
1,2
1東京女子医科大学
2母子総合医療センター新生児部門
pp.84-91
発行日 1987年1月25日
Published Date 1987/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207059
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新生児の薬物代謝をめぐっては,種々の薬物が新生児に投与されるためだけでなく,母体に投与された薬物が胎盤や母乳を介して児に移行するため,様々な問題が生じている。これまで述べてきたように,新生児は薬物を代謝する腎臓や肝が未熟で,その機能は在胎週数や生後日齢によって変動するという特徴を有している。それゆえ,新生児における薬物代謝は成人や小児のそれとはきわめて異なったものと考えなげればならない。すなわち,成人や小児で得られた薬物代謝のデータをそのまま新生児に応用するのはきわめて危険なことなのである。
本項では,毎日の臨床で使用されている薬物の基礎的な背景について解説し,新生児に特有の胎盤への移行性,母乳への移行性などについて述べる。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.