認定医講座
代謝性骨疾患
串田 一博
1
1浜松医科大学整形外科
pp.1179-1184
発行日 1989年10月25日
Published Date 1989/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408908205
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はじめに
代謝性骨疾患は内分泌疾患,カルシウム代謝異常症,リン代謝異常症,コラーゲン代謝異常症,その他osteopetrosis,Paget病などが含まれるが本稿においては原発性骨粗鬆症,原発性上皮小体機能亢進症,腎性骨異栄養症,くる病・骨軟化症などのカルシウム代謝異常症,リン代謝異常症を中心にして記述する.これらの疾患は血清カルシウムの調節機構すなわち骨組織,上皮小体,甲状腺,腸管,腎臓からなるカルシウムの遊離,吸収,排泄機構と上皮小体ホルモン,カルシトニン,Vitamin Dなどのホルモン作用の異常によって発生し,臨床的には四肢関節の疼痛,腰背痛,骨格変形,骨折を主訴とし,X線学的所見として共通して骨萎縮像を呈するため,正確な鑑別診断が必要とされる.X線検査は必要な時には全身骨surveyが行われ,疾患による特異的所見を得るよう努力する.生化学的診断としては血清カルシウム,リン,クロールなどの電解質,AL-P,Osteocalcinなどの骨代謝マーカー,PTH,25-(OH)D,1,α,25-(OH)2D,カルシトニンなどのホルモン,血液酸塩基平衡(重炭酸),尿中のカルシウム,リン,cyclic AMP,水酸化プロリン濃度などが診断に供される(表1,4).
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