特集 これならわかる骨系統疾患とその周辺
各論
FGFR3異常症1:タナトフォリック骨異形成症
山本 慧
1,2
,
和田 啓介
2
,
竹谷 健
2
YAMAMOTO Kei
1,2
,
WADA Keisuke
2
,
TAKETANI Takeshi
2
1島根大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター
2島根大学医学部小児科
pp.1628-1630
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001954
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疾患概要
タナトフォリック骨異形成症(thanatophoric dysplasia:TD)は,代表的な四肢短縮型骨異形成症の一つである。線維芽細胞増殖因子受容体3(FGFR3)遺伝子バリアントによって発症し,四肢の著しい短縮,狭い胸郭,前頭部突出を伴う巨大頭蓋,特徴的な顔貌(鼻根部の陥凹,顔面の低形成),短指趾症などがみられる。出生前診断として,胎児大腿骨長の著明な短縮と嚥下障害から羊水過多を伴うことが多い。胸郭の低形成による呼吸不全が必発で,現時点で根治的な治療法はない1)。本疾患に対するコンセンサスガイドラインはまだなく,適切な呼吸管理により長期生存も可能であるが,重度の精神運動発達遅滞を合併することなどから,積極的な治療を行うかどうかは出生前から家族への病状説明と経時的な話し合いにより慎重に決定する2)。
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