特集 これでわかる新生児呼吸管理2024
合併症
人工呼吸器関連横隔膜障害(ventilator-induced diaphragmatic dysfunction:VIDD)
星野 雄介
1
HOSHINO Yusuke
1
1茨城県立こども病院新生児科
pp.853-856
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001611
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横隔膜について
肺自体は自力で拡張する能力をもたず,呼吸筋により発生する胸腔内圧の変動によって換気が行われる。主な呼吸筋として横隔膜・外肋間筋・内肋間筋・腹直筋などがあるが,吸気において最も重要な筋肉は横隔膜である。横隔膜は中央の腱性部と胸壁に起始する筋性部から構成され,安静吸気の70%を担う。吸気が始まると外肋間筋が収縮して肋骨下部が外側上方に持ち上がることで胸郭が広がり,横隔膜の筋性部が中央に向かって収縮することで腱性部が下降する。このことが胸腔内容積の増加と胸腔内圧の低下を引き起こし,肺が拡張する(図1)。横隔膜を含めた呼吸筋はすべて骨格筋であり,エネルギー供給と仕事量のバランスの不均衡によって筋疲労が発生し,安静により回復する。
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