特集 これでわかる新生児呼吸管理2024
呼吸管理の実際:ガス
低酸素療法(N2吸入療法)
白石 淳
1
SHIRAISHI Jun
1
1国立循環器病研究センター小児循環器内科部新生児科
pp.667-671
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001575
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はじめに
左心低形成症候群をはじめとする単心室血行動態の先天性心疾患や,動脈管依存性の先天性心疾患児の救命率は,1980年代後半のプロスタグランジン製剤の普及により,飛躍的に改善した。しかし同時に,プロスタグランジンによる肺血管拡張作用と,生理的な肺血管抵抗低下による肺循環血流の増加に伴い体循環血流が著しく減少すると,肺血流増加による肺うっ血や,体血流減少によるショック(血圧低下・臓器血流減少・乏尿)などに陥るリスクに対する管理が課題となった。これに対して,1992年に,二酸化炭素の肺血管収縮作用に着目し,左心低形成症候群の術前管理に用いることにより高肺血流による循環不全を予防できること1)が,また1996年には,心臓移植までのつなぎとして,循環動態を安定させるために混合窒素による低酸素療法が有効であった2)報告がみられるようになった。
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