特集 これでわかる新生児呼吸管理2024
NICUにおける呼吸管理の歴史
田村 正徳
1
,
難波 文彦
1
TAMURA Masanori
1
,
NAMBA Fumihiko
1
1埼玉医科大学総合医療センター小児科
pp.653-658
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001572
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偉大な先駆者による日本の新生児医療の夜明けとしての未熟児医療
わが国では,第二次世界大戦後も新生児医療は多くの施設で産婦人科医を中心にしてカバーされていた。そのようななかで高井俊夫,小川次郎,山内逸郎,馬場一雄らは1958年に「未熟児を救命すれば新生児死亡率も乳児死亡率も下がる」を合い言葉に日本未熟児新生児研究会を発足させ,小児科医による新生児医療の普及に積極的に取り組んだ。当時の新生児死亡の最大原因が感染症であったことと戦後の厳しい経済的状況から新生児医療の中心は手洗いと窓越しの面会制限や母乳栄養であった。こうした保育環境の整備は着実に新生児死亡率や乳児死亡率の減少に貢献した。さらには山内逸郎が1952年,国立岡山病院に赴任直後から開始した「産科の保育器を,借用した院長車に積み込んで周辺の産科施設を走り回る」といったregionalizationの展開も限られた資源の有効活用に結びつき,岡山県は1968年には新生児死亡率が全国都道府県で一番低くなった。
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