特集 母子感染の最新知識
各論
ウイルス感染症 HTLV-1
宮沢 篤生
1
MIYAZAWA Tokuo
1
1昭和大学医学部小児科学講座
pp.581-585
発行日 2024年5月10日
Published Date 2024/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001552
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HTLV-1のウイルス学的特徴
成人T細胞白血病ウイルス1型(human T-cell leukemia virus type 1:HTLV-1)はヒトに感染するレトロウイルスの一種である。本ウイルスはCD4陽性Tリンパ球に感染し,ウイルスRNAが逆転写酵素によってDNAに変換され,宿主細胞の染色体DNAに組み込まれたプロウイルスとして定着し,体内から排除されることなく持続感染状態となる。感染細胞に組み込まれたプロウイルスDNAからは,ヒトのRNA合成機能や蛋白合成機能により新しいウイルス粒子が合成される。これらの感染性をもつウイルス粒子が感染細胞から血中に放出されることはなく,感染細胞と非感染細胞が直接接触しウイルス粒子が受け渡されることで感染が拡大する。
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