特集 周産期における研修医・新人助産師/看護師教育の必修知識 新生児編
新生児の特徴 循環適応
日根 幸太郎
1
HINE Kotaro
1
1東邦大学医療センター大森病院新生児科
pp.279-282
発行日 2024年3月10日
Published Date 2024/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001463
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はじめに
新生児の循環適応について考えるには,胎児循環の特徴を把握し,出生に伴いどのような変化が生後の新生児循環に影響を与えるのか,一連の流れで理解することが重要である。胎児は母親の子宮内で胎盤を通じて母親から栄養をもらい,排泄を行い,ガス交換を行う。実に胎児の心拍出量の40%は胎盤に流れており,胎児の循環は主に胎盤循環である。一方,生後は胎盤から分離することで胎盤循環が消失し,ガス交換は胎盤から呼吸に依存するため肺循環に移行する。このように,分娩を介して胎盤循環から肺循環への移行を与儀なくされる新生児の血行動態はヒトの一生のうちで最も劇的な変化である。この劇的な循環の変化に適応できない場合には出生後,呼吸循環不全に直結する。以下に胎盤循環と肺循環の特徴について具体的に述べていく。
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