増刊号 周産期診療のための病態生理
[産科編]
妊娠合併症
抗リン脂質抗体症候群の病態生理はどこまでわかっているか
山本 樹生
1
YAMAMOTO Tatsuo
1
1春日部市立医療センター産婦人科
キーワード:
抗リン脂質抗体
,
凝固系
,
β2-GPⅠ
,
カルジオリピン抗体
Keyword:
抗リン脂質抗体
,
凝固系
,
β2-GPⅠ
,
カルジオリピン抗体
pp.42-46
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001235
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抗リン脂質抗体の概念の変遷
1960年代から全身性エリテマトーデス(SLE)患者血漿中にin vitroのリン脂質依存性凝固反応を抑制する物質が存在することが知られており,ループスアンチコアグラント(LA)とよばれていた。1980年代になってHarrisらは,カルジオリピンやほかのリン脂質を抗原とした,抗リン脂質抗体ELISAなどを利用した測定を行うようになり,抗リン脂質抗体と表現されるようになった。その後,松浦,小池らにより抗リン脂質抗体は単にリン脂質に結合するのではなく,リン脂質に結合した蛋白(β2-glycoprrotein I:β2-GPⅠ)に結合することが判明し,抗リン脂質抗体そのものの概念を考え直す必要が出てきた1)。
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