増刊号 周産期診療のための病態生理
[産科編]
妊娠合併症
妊娠中の肝障害の病態生理(HELLP症候群,急性妊娠脂肪肝など)はどこまでわかっているか
森川 守
1
MORIKAWA Mamoru
1
1関西医科大学医学部産科学・婦人科学講座
キーワード:
肝障害
,
急性妊娠脂肪肝
,
HELLP症候群
,
妊娠性肝内胆汁うっ滞症
,
妊娠悪阻
Keyword:
肝障害
,
急性妊娠脂肪肝
,
HELLP症候群
,
妊娠性肝内胆汁うっ滞症
,
妊娠悪阻
pp.38-41
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001234
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HELLP症候群
1 基本病因,発症機序,解剖学的背景
妊娠高血圧症候群の発症機序においては,近年2 step theoryが提唱されている。妊娠初期に1st stepとして起きた子宮らせん動脈のremodeling不全が,妊娠中期~末期に2nd stepとして血管内皮細胞障害による血管内脱水と,それに伴う血管攣縮を引き起こすことにより,高血圧や子癇,HELLP(hemolysis, elevated liver enzymes and low platelets)症候群を発症させる。HELLP症候群では肝血管の攣縮が肝臓の循環不全を引き起こし,結果として肝機能が低下する。
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