特集 Controversies in perinatology 2023 産科編
HELLP症候群(母体に対するステロイド投与)―使用しない
鈴木 研資
1
,
入山 高行
1
SUZUKI Kensuke
1
,
IRIYAMA Takayuki
1
1東京大学医学部附属病院産婦人科
pp.1683-1685
発行日 2022年12月10日
Published Date 2022/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000708
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はじめに
HELLP症候群は,溶血(hemolysis),肝酵素上昇(elevated liver enzyme),血小板減少(low platelets)を特徴とし,母体死亡や胎児・新生児死亡の原因となる予後不良な疾患である。HELLP症候群による母体合併症としては,播種性血管内凝固症候群,常位胎盤早期剝離,子癎,急性腎不全,肺水腫,肝被膜下出血,脳出血,母体死亡の報告があり,時に重篤な転帰をとることから1),周産期医療に携わる医療者は病態や治療について熟知しておく必要がある。本稿では,HELLP症候群に対するステロイド投与の必要性について,わが国や諸外国のガイドラインや診療指針での動向,エビデンスについて紹介し,ステロイド投与を行わないという立場から考察する。
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