疾患と検査値の推移
HELLP症候群
水上 尚典
1
1北海道大学大学院医学研究科産科生殖医学分野
pp.259-262
発行日 2009年3月1日
Published Date 2009/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102390
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HELLP症候群の由来
HELLP症候群の由来は1982年のワインスタイン(Weinstein)報告1)に始まる.ワインスタインは過去2.5年間に経験した溶血,肝機能異常,血小板減少症の三者を合併した29症例をHELLP症候群として報告した1).HELLP症候群の“HELLP”は溶血を意味する“Hemolysis”の“H”,肝由来酵素上昇を意味する“Elevated Liver enzymes”の“E”と“L”を,血小板減少を意味する“Low Platelet”の“L”と“P”を取ったものである.
ワインスタインはこの報告のなかで,HELLP症候群は,①母児予後改善のために急速遂娩が必要であること,②妊娠中期以降起こる可能性があること,③妊娠高血圧症候群患者に起こるがしばしば重症妊娠高血圧症候群の症状(高度高血圧)を欠くこと,④HELLP症候群の存在を知らないと肝炎や胆石の精査につながり治療(妊娠継続の中断)開始が遅れること,などを主張した.また,この29症例中には3例の双胎妊婦が含まれていた.したがって,HELLP症候群という病名は血液検査結果をベースにした診断名である.
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