特集 周産期と最先端サイエンス
新生児領域
経皮ビリルビン測定が可能なウェアラブル型マルチバイタルデバイスの開発
魚住 梓
1
,
嶋村 雅貴
2
,
太田 裕貴
2
,
伊藤 秀一
1
UOZUMI Azusa
1
,
SHIMAMURA Masaki
2
,
OTA Hiroki
2
,
ITO Syuichi
1
1横浜市立大学附属病院小児科
2横浜国立大学大学院工学研究院
pp.1013-1017
発行日 2022年7月10日
Published Date 2022/7/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000248
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はじめに
新生児黄疸は日常診療で高い頻度で遭遇する症候の一つであるが,血清ビリルビン値の急上昇や高値を放置するとビリルビン脳症をひき起こす可能性がある。現在,経皮黄疸計による経皮ビリルビン(transcutaneous bilirubin:TcB)のモニタリングと光線療法,交換輸血の治療法が確立され,日本において正期産児がビリルビン脳症で重篤な後遺症を残す症例は著しく減少している1)。一方,開発途上国・新興国などでは,患児が医療機関へアクセスできない,経皮黄疸計が高価であり病院でも購入できないことがある。その結果,ビリルビン脳症による後遺症を残す新生児が少なからず存在する。実際,低・中所得国においてビリルビン脳症は新生児死亡および脳障害をひき起こす主要原因の一つとして大きな問題となっている2,3)。そのために筆者らは安価で,誰でも簡便に操作できるデバイスが必要であると考えた。
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