特集 Late preterm・Early termを展望する
各論
新生児編 Late preterm児の再入院
平野 慎也
1
HIRANO Shinya
1
1大阪母子医療センター新生児科
pp.594-597
発行日 2022年4月10日
Published Date 2022/4/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000136
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はじめに―Late preterm児について
一般に在胎期間による新生児の分類は,在胎37週未満出生の児を「preterm(早産児)」,37週以上42週未満を「term(正期産児)」,42週以上を「postterm(過期産児)」とよんでいる。late preterm児とは,2005年NICHD(National Institute of Child Health and Development)が提唱した概念で,早産児のなかでもとくに在胎34週0日~36週6日に出生した児と定義される。これまで在胎34週0日~36週6日に出生した児については,“near term”,“marginally preterm” などと表現されてきた。これらの児は,臨床的には全く健康に見え,出生後も特別な医療的介入を必要としないため,「ほとんど成熟,ほとんど正期産」で,病気になるリスクは少ないものとして正期産児と同じ扱いを受けてきた。とくに出生体重が大きい児は早産児であることを意識されないまま扱われることもあった。在胎期間と胎児の臓器の成熟度は必ずしも直線的な関係をもたないが,late preterm児の各臓器は正期産児よりは未成熟な状態にある。死亡することはまれであるにしろ,罹病率は正期産児の2~3倍であり,体温調節,低血糖,呼吸障害,無呼吸発作,黄疸,けいれん,哺乳障害,感染症,晩期敗血症など,再入院の頻度が正期産児に比べて高いということが明らかになってきた1)。
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