特集 生殖補助医療の進歩と周産期医療
小児科の立場から
不妊治療と総合病院NICU
住吉 倫卓
1
,
横田 知之
1
SUMIYOSHI Michitaka
1
,
YOKOTA Tomoyuki
1
1愛仁会千船病院小児科
pp.403-406
発行日 2022年3月10日
Published Date 2022/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000093
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はじめに
わが国において,生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)で出生した児は,1983年に初めて報告されて以来,年々増加傾向にあり,2019年には全出生の7.0%がARTで出生した児であった1)。不妊に悩む夫婦にとって,出生児の予後に関する情報は可能なかぎり正確に提供されるべきだが,不妊治療と周産期予後の関連には結論が出ていない。ノルウェーのpopulation-based studyではARTと周産期異常には関連がないと報告されているが2),米国産婦人科学会の報告では,多胎,早産,低出生体重,small for gestational age(SGA),前置胎盤,癒着胎盤,妊娠高血圧腎症,児奇形などのリスクがあるとされている3)。わが国の周産期登録データ(2001~2005年)では,ARTでの妊娠では,ARTの種類に関係なく,前置胎盤,早産,SGAの発生率が高く,自然分娩率が低い傾向にあったと報告されている4)。しかし,不妊治療で出生した児の予後に関する報告はわが国では少ない。
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