Medical Scope
フェノバルビタール母体投与例から出生した新生児の長期予後
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.1045
発行日 1982年12月25日
Published Date 1982/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206142
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新生児の高ビリルビン血症hyperbilirubinemiaの発症を予防するために,出生前の母体にフェノバルビタールを内服させておく方法があるのを皆さんはもうよく知っておられることと思います。フェノバルビタールという薬剤はけいれんなどをとめるために用いられる鎮痙剤ですが,母体に投与されたフェノバルビタールは胎盤をよく通過して胎児に移行します。そして,胎児のからだのなかで排泄されるときに,肝を通り,そのなかでグルクロン酸を抱合されて排泄される形をとります。つまり、胎児にフェノバルビタールが入ってくると,胎児はこの薬剤を早く排泄するようにと肝のなかでどんどんグルクロン酸を抱合させることになりますが,このときに,グルクロン酸抱合酵素という酵素が必要なのです。したがって,フェノバルビヌールを排泄するために,胎児の肝内ではたくさんのグルクロン酸抱合酵素を作ることになります。胎児時代の肝はこの酵素があまり活性化されていないので,このような薬剤がくることによって自分で排泄させるためにどんどん活性化させて,大量生産することになります。
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