特集 難聴の疑問に答える
【難聴の定義と疫学】
難聴に影響する環境因子は?
松延 毅
1
Takeshi Matsunobu
1
1防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座
キーワード:
騒音性聴器障害
,
ヘッドホン・イヤホン
,
圧外傷
Keyword:
騒音性聴器障害
,
ヘッドホン・イヤホン
,
圧外傷
pp.956-958
発行日 2026年9月1日
Published Date 2026/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000002270
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はじめに
難聴は世界的に増加している重要な健康課題であり,個人の生活の質(quality of life:QOL)の低下のみならず,コミュニケーション障害,社会的孤立,抑うつ,さらには認知機能低下や認知症発症リスクの増加とも関連することが知られている1)。近年,世界保健機関(WHO)は難聴を主要な公衆衛生上の課題として位置付けており,2050年までに世界で25億人以上が何らかの難聴を有し,そのうち約7億人がリハビリテーションを必要とすると予測している(WHO, 2021)2)。難聴の発症には遺伝的要因,加齢,感染症,薬剤性障害など多様な因子が関与するが,その中でも環境因子は予防可能な危険因子としてきわめて重要である。本稿では,難聴に関与する主要な環境因子として騒音および圧環境の変化を中心に取り上げ概説する。また近年の研究によって明らかとなった蝸牛シナプス障害や若年者のレジャーに伴う騒音曝露の問題など,新たな知見についても整理し,環境因子と難聴との影響について解説する。

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