特集 細菌,ウイルス,真菌―微生物学のパラダイムシフト―
【口腔・咽頭・頸部領域】
深頸部感染症における嫌気性菌・多剤耐性菌の臨床的意義
山下 拓
1
Taku Yamashita
1
1北里大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
深頸部感染症
,
嫌気性菌
,
多剤耐性菌
Keyword:
深頸部感染症
,
嫌気性菌
,
多剤耐性菌
pp.299-301
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000002038
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はじめに
深頸部感染症は,口腔・咽頭・歯性感染,異物・外傷創部などからの感染が頸部筋膜間隙に波及して発症する重篤な感染症である。抗菌薬の進歩により死亡率は減少したものの,気道閉塞や降下性壊死性縦隔炎(descending necrotizing mediastinitis:DNM),敗血症などの致死的合併症をきたす症例もいまだ少なくない。特に糖尿病や免疫能低下などの基礎疾患がある患者は注意が必要である。また初期の不十分な診断,治療は重篤な経過を招き,入院・治療期間の延長や治療後の嚥下等の機能低下を引き起こしうることを念頭に治療にあたる必要がある。治療の基本は早期診断と適切な抗菌薬投与,さらに適切な時期および範囲の外科的ドレナージである。診断には,まず視診・咽喉頭内視鏡検査による感染源の推定,喉頭浮腫などの気道狭窄の有無を迅速に評価し,必要があれば気道確保を行う。血液検査では白血球数やCRPに加え,糖尿病の有無や,重症例ではDICや腎機能障害などへの進展がないかをまず見極める。また造影CTにより感染源の検索,膿瘍形成やガス産生の有無,炎症の進展範囲の的確な評価が必要で,それに応じた外科的ドレナージを必要十分に行う必要がある。また近年は嫌気性菌および多剤耐性菌(multidrug-resistant bacteria:MDR)の関与が増加しており,臨床経過や治療選択に大きく影響する。

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