特集 細菌,ウイルス,真菌―微生物学のパラダイムシフト―
【鼻副鼻腔領域】
慢性鼻副鼻腔炎における細菌叢の変化と臨床像の多様化
木戸口 正典
1,2
Masanori Kidoguchi
1,2
1福井大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
2ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部アレルギー免疫部門
キーワード:
好酸球性副鼻腔炎
,
鼻副鼻腔マイクロバイオーム
,
ディスバイオーシス
Keyword:
好酸球性副鼻腔炎
,
鼻副鼻腔マイクロバイオーム
,
ディスバイオーシス
pp.278-282
発行日 2026年3月1日
Published Date 2026/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000002032
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はじめに
慢性鼻副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis:CRS)は,鼻副鼻腔粘膜の持続的炎症による鼻汁・鼻閉・後鼻漏を特徴とし,鼻茸(nasal polyps:NP)の有無により鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)と伴わない慢性鼻副鼻腔炎(CRSsNP)に大別される。さらに日本では,好酸球性炎症の有無によって,好酸球性副鼻腔炎(ECRS)と非好酸球性副鼻腔炎(non-ECRS)という分類が臨床的に広く用いられている1)。従来,日本ではCRSはCRSsNPやnon-ECRSの割合が高く,細菌感染を主因と考え,抗菌薬による制御が治療の中心であった。しかし,非細菌性と考えられてきたCRSwNPやECRSの割合がここ数十年で増加してきており,加えて次世代シーケンサーを用いた解析により,健康者やECRSにも多様な常在菌が存在し,そのバランスの破綻(dysbiosis)が慢性炎症を駆動することが明らかとなった。すなわち,CRSは単なる感染症ではなく,宿主免疫と微生物生態系の相互作用による炎症性疾患と再定義されつつある。

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