連載 古典あれこれ
原点を探る―Michel型内耳奇形の初出原著とその引用の精度検証―
松田 信作
1,2
Matsuda Shinsaku
1,2
1東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚運動機能講座耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野
2国立病院機構東京医療センター・臨床研究センター
キーワード:
Michel型内耳奇形
,
先天性難聴
,
内耳発生
Keyword:
Michel型内耳奇形
,
先天性難聴
,
内耳発生
pp.1507-1513
発行日 2025年11月1日
Published Date 2025/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001888
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はじめに
Michel型内耳奇形は,内耳の発生過程において最も重度の先天性異常であり,蝸牛や前庭,三半規管を含む膜迷路および骨迷路の全構造が欠如する稀な病態である。1863年にMichelにより最初に報告1)され,内耳奇形の分類の中で最も早期の発生段階に障害が生じた結果と考えられている。Michel型内耳奇形は通常,妊娠第3週から第4週にかけての耳胞形成以前の異常に起因2〜4)し,重度の感音難聴を伴うとされる。内耳奇形全般については,現代の画像診断技術や分子遺伝学の進展により,診断精度が向上しつつあるが,その病因や発症メカニズムについては未解明な部分も多い。

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