真珠腫性中耳炎の合併症

はじめに

　真珠腫性中耳炎（cholesteatomatous otitis media）は，角化扁平上皮の異常増殖により形成された真珠腫が，中耳腔や乳突蜂巣内に浸潤・拡大し，骨破壊を伴う。通常の慢性中耳炎と異なり，真珠腫の存在が周囲構造に侵襲的な影響を及ぼすことから，早期発見と適切な外科的介入が求められる。本稿では，真珠腫性中耳炎に関連する合併症は進展に基づいて骨破壊が生じることになり，蝸牛・半規管瘻孔，顔面神経への浸潤による麻痺などの中耳内耳の合併症と，それ以外の頭蓋内合併症があり^1），それぞれに分けて概説する。