特集 花粉症の疑問に答える
【疫学】
花粉症は医療経済にどう影響するか?
米倉 修二
1
Syuji Yonekura
1
1千葉大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学
キーワード:
アレルギー性鼻炎
,
花粉症
,
医療費
,
presenteeism
Keyword:
アレルギー性鼻炎
,
花粉症
,
医療費
,
presenteeism
pp.1053-1056
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001756
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はじめに
耳鼻咽喉科医師とその家族を対象とした疫学調査によると,2019年時点におけるアレルギー性鼻炎全体の有病率は49.2%,スギ花粉症では38.8%となっており,約20年間で増加傾向にある1)。アレルギー性鼻炎は鼻症状にとどまらず,睡眠の質や認知機能を低下させ,最終的には生活の質や仕事・学校でのパフォーマンスに影響を与える。医療経済への影響については,診療や薬剤に係る医療費(直接的コスト)だけでなく,疾病による労働生産性低下など数値に表しにくい間接的コストについても分けて考える必要がある。本稿ではわが国のアレルギー性鼻炎に関連した国民医療費の現状,労働生産性への影響,薬物治療による労働生産性や医療経済への影響についてこれまで報告された知見を中心に概説する。

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