特集 鼻科診療の論点-異なる立場の対話とディベート-
【さまざまな治療法の中から】
嗅覚障害に対する治療―薬物療法の立場から―
菊田 周
1
Shu Kikuta
1
1日本大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科
キーワード:
嗅覚障害
,
薬物療法
,
ステロイド
,
分子標的治療薬
Keyword:
嗅覚障害
,
薬物療法
,
ステロイド
,
分子標的治療薬
pp.201-203
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001476
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はじめに
嗅覚障害を引き起こす病因は多岐に渡るが,炎症,感冒,外傷で約7割近くを占めている。原因として最も多い慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis:CRS)では,局所の炎症による気流量低下に加え,好酸球顆粒や炎症性サイトカインによって嗅細胞が傷害され嗅覚は低下する1~3)。2番目に多い感冒罹患後の嗅覚障害では,ウイルス(COVID-19を除く)が嗅細胞に感染することで嗅覚が低下する。現在の薬物治療の焦点は,安定した嗅覚受容を可能にするために局所の消炎を図ることである。嗅覚障害に対して,日常臨床で使用されている代表的な薬剤における臨床効果について概説する。
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