特集 鼻科診療の論点-異なる立場の対話とディベート-
【さまざまな治療法の中から】
重症スギ花粉症に対する治療―生物学的製剤による治療の立場から―
平野 康次郎
1
Kojiro Hirano
1
1昭和大学医学部耳鼻咽喉科頭頸部外科学講座
キーワード:
スギ花粉症
,
IgE
,
Omalizumab
,
生物学的製剤
Keyword:
スギ花粉症
,
IgE
,
Omalizumab
,
生物学的製剤
pp.197-200
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001475
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はじめに
「鼻アレルギー診療ガイドライン」によると,スギ花粉症の有病率は2008年の26.5%から2019年には38.8%に増加した1)。重症度分類では患者の52.9%が重症または最重症に分類されている2)。アレルギー性鼻炎患者は,睡眠障害や薬の副作用,気分の変動,炎症性サイトカインやヒスタミンの影響により認知機能に影響を受ける可能性があり3),花粉飛散期には花粉症患者の処理速度が健常者と比べて10~20%低下することが示されている4)。重症のスギ花粉症患者はQOLを大きく損ない,それが社会的・経済的な損失をもたらす。
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