特集 伝音難聴の最新の診断と治療
【伝音難聴診断のための聴覚検査最前線】
ワイドバンドティンパノメトリーを使いこなす
上出 洋介
1
Yosuke Kamide
1
1かみで耳鼻咽喉科クリニック
キーワード:
伝音難聴
,
ワイドバンドティンパノメトリー
,
アブゾーバンス
Keyword:
伝音難聴
,
ワイドバンドティンパノメトリー
,
アブゾーバンス
pp.23-29
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001426
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はじめに
中耳の最も重要な機能のひとつは,外耳道から入力される音を約30 dB以上の利得で増幅し,内耳に伝える役割である。耳介・外耳から内耳のリンパ系への音の伝導については水のインピーダンスは空気の4,000倍であり,音響エネルギーの0.1%のみが内耳に入るため30 dBの損失に対する補完と解釈される。ただし空気振動がリンパ液に到達するまでにさまざまな構造体が関与しており,各々のインピーダンスに影響される。したがって聞こえるすべての周波数を十分に伝導しているわけではなく周波数に依存して利得している1)。
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