術中合併症とその対策

はじめに

　経外耳道的内視鏡下耳科手術（transcanal endoscopic ear surgery：TEES）は低侵襲な手術としてわが国でも急速に普及してきている^1,2）。TEESでは，広角な視野をもつ内視鏡を対象に接近させ，さらに斜視鏡を組み合わせることで，死角が少なく明瞭な視野を得ることができる。しかしながら，TEESはkeyhole surgery，かつ原則としてone-handed surgeryであるため，顕微鏡下耳科手術（microscopic ear surgery：MES）とは手術手技が異なる部分があり，TEES特有の合併症に注意して手術操作を行う必要がある。