特集 てこずった症例・難治症例にどう対応するか
がん
閉鎖にてこずった咽頭喉頭摘出・遊離空腸再建術後の咽頭皮膚瘻症例
佐野 大佑
1
,
折舘 伸彦
1
Daisuke Sano
1
,
Nobuhiko Oridate
1
1横浜市立大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
キーワード:
咽頭喉頭摘出後
,
咽頭皮膚瘻
,
有茎皮弁
,
局所陰圧閉鎖療法
Keyword:
咽頭喉頭摘出後
,
咽頭皮膚瘻
,
有茎皮弁
,
局所陰圧閉鎖療法
pp.1159-1162
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000001277
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はじめに
化学放射線治療の普及により,喉頭摘出術,咽頭喉頭摘出術を喉頭温存を目的とした化学放射線治療後の救済手術として,あるいは過去に頭頸部領域に根治治療目的に(化学)放射線治療が行われた後に新規に発生した喉頭癌,下咽頭癌に対する根治切除として行われる機会が増えている。喉頭摘出後の咽頭皮膚瘻はひとたび生じると経口摂取の開始時期が大幅に遅れ,患者の生活の質を著しく低下させる,同術における留意すべき手術関連有害事象である。患者の全身状態や咽頭皮膚瘻の部位,感染状況など経過によっては総頸動脈破裂も生じ得るため適切な対応が求められる。特に化学放射線治療後では治療による組織障害や,全身状態の悪化に起因する創傷治癒障害などにより,咽頭皮膚瘻の発生リスクは高くなると言われている1)。
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