特集 高齢者の疑問にどう答えるか
鼻領域
鼻の中が乾燥するのですが,どうしたらいいのでしょうか?
大木 幹文
1
Motofumi Ohki
1
1北里大学メディカルセンター耳鼻咽喉科
キーワード:
高齢者
,
鼻腔乾燥
,
鼻腔通気性
,
鼻腔洗浄
,
粘液線毛機能
Keyword:
高齢者
,
鼻腔乾燥
,
鼻腔通気性
,
鼻腔洗浄
,
粘液線毛機能
pp.991-994
発行日 2023年9月1日
Published Date 2023/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000723
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はじめに
鼻腔には,加温・加湿,生体防御などさまざまな機能が存在する。この機能は生体の恒常性を維持するためのものであり,年齢とともに鼻腔構造や鼻粘膜は変化している。この鼻腔構造と鼻粘膜の間によって構成された鼻腔から鼻腔通気性が決定される。鼻腔は心肺機能の定常化に重要であり,体格の成長とともに通気性は変化する。小児期では年齢とともに低下傾向を示す1)。成人の鼻腔抵抗の参考値は16~65歳の正常成人を対象としたため2),高齢者の鼻腔生理学的検討は必ずしも多くはない。鼻腔は加齢に伴う生理学的変化ばかりではなく,永年に渡る気道感染や化学物質の刺激により鼻粘膜は変性しており3),呼吸機能にどのような関わりを持つかを議論するのは難しい。しかしながら高齢化社会になり,65歳以上の組織学的変化や呼吸生理機能,粘膜分泌能などの理解から気道障害の対策も必要となる4)。これらの要素が加齢とともに変化し,乾燥を訴える一因となる。
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