連載 わたしの研究歴
VEMPに至る道のりとその後
室伏 利久
1
Toshihisa Murofushi
1
1帝京大学溝口病院耳鼻咽喉科
キーワード:
VEMP
,
温度眼振第Ⅱ相
,
めまい
Keyword:
VEMP
,
温度眼振第Ⅱ相
,
めまい
pp.335-337
発行日 2023年3月1日
Published Date 2023/3/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000507
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はじめに―「初めに言があった」―
「はじめに言があった。言は神とともにあった。言は神であった」1)。これはヨハネによる福音書の冒頭である。私が耳鼻咽喉科医になることを決めた理由はこのことばに含まれている。人間を人間たらしめ,他の動物から区別するのは,その言語によってであろう。大学生のころの私の興味の中心は “言語” にあった。そこで,将来は言語に関連した分野の研究をしたいものだと思っていた。医学部の学生であったので医学領域で言語に関わりのある部門として,いくつかの神経科学に関係する診療科や基礎の研究室を候補として考えた。最終的に耳鼻咽喉科を専攻したのは,耳鼻咽喉科が聴覚という自然言語に不可欠な感覚を扱っていること,咽喉頭という音声言語の生成に関わる領域も同時に扱っていることから強い興味をいだいたからである。
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