特集 先天性難聴への対応
補聴器・人工内耳を装用する小・中・高校生への総合的配慮
片岡 祐子
1
Yuko Kataoka
1
1岡山大学病院耳鼻咽喉科
キーワード:
補聴器装用児
,
人工内耳装用児
,
学校生活
Keyword:
補聴器装用児
,
人工内耳装用児
,
学校生活
pp.775-778
発行日 2022年7月1日
Published Date 2022/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000196
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はじめに
わが国で障害者の共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築と,個人に必要な合理的配慮の提供が提言されて10年が経過した。近年の難聴の早期発見・早期療育,補聴器・人工内耳の機器開発に伴い,聴覚を活用しインクルーシブ教育を受ける小・中・高校生の難聴児・者(以下,難聴児)は約60%にのぼり1),あたかも “共生” が実現されているかのように見受けられる。しかしながら,実際のインクルーシブ教育での配慮の状況を聞くと,単に座席を前に配置するだけにとどまっている場合があまりにも多く,必ずしも合理的配慮が行き届いていないのが現状である。少なくとも補聴器・人工内耳装用下でも聴取に課題がある難聴児に対して “情報バリアフリー” の状況が提供されているとは言い難い。
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