特集 ここまで進化した補聴器と人工内耳診療
難聴対策の現状
コロナ社会と難聴者―マスクなどによる難聴者への弊害
西村 忠己
1
Tadashi Nishimura
1
1奈良県立医科大学耳鼻咽喉・頭頸部外科
キーワード:
難聴
,
マスク
,
読唇術
,
音質劣化
Keyword:
難聴
,
マスク
,
読唇術
,
音質劣化
pp.139-141
発行日 2022年2月1日
Published Date 2022/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/ohns.0000000035
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はじめに
COVID-19の流行により2020年3月を境に世界は大きく変化した。感染拡大防止のため窓口など対面となる場所はアクリル板で仕切られ,十分な社会的距離をとることが必要となり,外出時はマスクの着用が求められる。これらの感染防止策はコミュニケーションを取る上で障害となり,従来からコミュニケーションで不利な立場にある難聴者ではその影響はさらに大きく,外来受診した難聴者の多くがマスクによる悪影響を訴える。マスクの装着が,難聴者のコミュニケーションに与える悪影響は,大きく分けて音響的な影響と視覚情報に関する影響の2つに分けられる。すなわち発話者の音声がマスクを通すことで劣化し聞き取りにくくなることと,マスクで口元などの動きがわからなくなることによる影響である。
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